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スーパーバイザー 野村萬斎 新宿狂言 Vol.18
「新宿狂言」は、スーパーバイザーの狂言師野村萬斎
さんとスペース・ゼロのコラボレーション企画として、能
楽堂を離れた演出空間で行う「劇場狂言」の草分けとし
て1994年に始まりました。日本を代表する伝統芸能「狂
言」の魅力を損なうことなく、舞台美術や照明、音響、
映像効果を取り入れた構成と演出によって、狂言本来の
面白さとともに現代に通じるテーマ性を浮かび上がらせ
ようとする狂言公演です。
毎回、野村萬斎師の斬新な構成・演出で表現する舞
台が好評を得て継続、2011年、16回目の公演をもって
一旦休止となりましたが、2016年、5年ぶりに『再生』
をテーマに復活公演を行いました。 再び日本が誇る人間
讃歌のヒューマンコメディ「狂言」の可能性を追求します。
~うそッ!~
昨今は、にわかには信じられないようなうそやまやかし
が世の中にあふれていると感じます。古典芸能の狂言に
も様々なうそや偽りが題材となっている演目が数多くあり
ます。そのうそに端を発して、だまし、騙される市井の人々
が大勢登場します。しかし狂言で描かれるうそは、現代
の救いようのない、悪意に満ちたそれとは違って、笑い
の裏に教訓や警句が潜んでいたり、シャレや愛嬌といっ
たものが感じられます。狂言が時代を超えて共感を得な
がら親しまれている理由のひとつだと思います。
新宿狂言vol.18で取り上げたのは、思わず「うそッ!」
と言いたくなる二曲。狂言「千鳥」と木下順二原作の狂
言による「彦市ばなし」です。
「彦市ばなし」は、熊本県の昔話をもとに木下順二が
書いた民話劇。1955年、野村万作師らの出演によって狂
言様式で初演されて以来、繰り返し上演されている大人
気作品。
ライブ・パフォーマンス「狂言」の真骨頂にご期待く
ださい。 |
主人から付けで酒を買ってこいと命
じられた太郎冠者。これまでの支払い
が溜まっているため酒屋もなかなか酒
を譲ってくれません。そこで太郎冠者
は津島祭の話を取り上げて、子どもた
ちが千鳥を捕る様子や、流鏑馬で馬を
操る仕草を調子よく囃しながら、その
隙に酒樽を持ち去ろうとしますが…。
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嘘つき名人の彦市は天狗の子から
隠れ蓑をだまし取り、殿様からは河童
を釣るためと嘘を言って鯨肉と天狗の
面をせしめる。すべてがうまく運ぶかと
思いきや、だまされたことに気づいて
隠れ蓑を取り戻そうと追いかけてきた
天狗の子に、鯨肉と天狗の面を取り返
されてしまう。さらに、隠れ蓑は何も知
らない妻に燃やされてしまってさぁ大
変! どうする彦市…。 |
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